[ムーンショット] 考えただけで意思伝達 "Think Communication"

考えただけでコミュニケーション

こんにちは,バーチャルサイエンティストの卵のRueです.

 

皆さん,何かを説明するときに,うまく言語化できず,頭の中のイメージがそのまま伝わればいいのにって経験はありませんか?

話すときに,頭ではイメージできてるのに,喋るのがつっかえてしまうって人,実は多いのではないでしょうか.

Rue
実は僕も話すの苦手... 

でも実は,そんな問題を解決しちゃいそうな,言葉にしなくても頭の中でイメージしただけで,相手に自分が考えているものを伝える技術の研究開発が着々と進んできているんです.

 

そんなとっても挑戦的な研究をしているのはー

ムーンショットIoB

なんでも,

2050年までに、人が身体、脳、空間、時間の制約から解放された社会を実現

することを目標に掲げている,ものすっごく挑戦的な研究をしている研究プロジェクトです.

前々回の記事で,このムーンショットIoB全体についての解説

前回の記事では,ムーンショットIoBが開発中の,脳活動やスマホのカメラから情報を読み取って,楽器の効率的な練習方法やうつ病の診断をしてくれるAI,Brain Assistantについて紹介していますが,皆さん,見てくれましたか?

まだ見てないよって人は是非先に,こちらの記事をご覧ください.

ムーンショットIoBは,人の意識について研究していた神経科学者,金井さん率いる日本の科学技術プロジェクトで,脳とインターネットを接続するInternet of Brains,IoBによって,より豊かな生活を実現する技術を研究しています.

Rue
科学的だけでなく,社会的にもインパクトのある研究を目指すプロジェクト!!

実は僕は,そんな国家プロジェクトの運営チームから,研究成果についての紹介をするってお仕事を頂いちゃいました♪

ムーンショットIoBの運営さんお墨付きの信頼できる情報で,先進的過ぎてびっくりするような研究をたっぷりと紹介しますので,是非,最後まで記事をご覧ください.

 

 

Rue
ちなみに僕は
  • 現役の博士課程の学生で普段は脳科学の研究に従事
  • 将来の夢はゲームの中に入り込む技術,フルダイブ技術の実現
  • フルダイブの実現のためにも,皆さんに脳科学に興味を持ってもらいたい!
  • ブログやYouTubeで最新の脳科学役に立つ心理学情報を発信

YouTubeでも活動しているので,動画で情報を得たいって人はこちらからチェック♪

▶ YouTube

Think Communication(シンクコミュニケーション)

 

今日のキーワードはこちら,

  • Think Communication

直訳すると,考えただけで相手とコミュニケーションを取ることができる技術って意味ですね.実はまさしくその通り,

Brain Machine Interface (BMI)技術AIを組み合わせて思考を脳から読み取り,考えただけで他者に自分のイメージを伝えることができるって技術

まるでSF技術ですよね,どうやってこのような研究をしているのでしょうか.

ってことで,さっそく,Think Communicationチームの研究覗き見しちゃいましょう.

 

1脳に電極を埋めて情報を読み取る研究

まずは大阪大学の栁澤さんのチームの研究!

栁澤さんは,電極を脳に埋め込む研究のスペシャリストで,めちゃめちゃ驚きの研究をたくさん実施しています.

頭皮の表面ではなく,頭蓋骨の内側,脳の表面に電極を埋め込むためには特殊な手術が必要で,日本ではなかなか研究されずらい貴重な研究をしている,研究者さんなんですね.

 

なぜ,そんな苦労をしてまで脳の表面に電極を設置するのか.

それは,

Rue
データの質が段違いだから!

 

例えば,より簡単な方法であり,手術を必要としない頭皮上から脳波を計測をした場合,頭蓋骨に脳からの電流が阻まれて正確な脳波が取れなかったり,計測の途中で筋肉の電気信号など,様々なノイズが混じっちゃったりと,綺麗なデータを取るのが難しいという問題があります.

その点,脳の表面に電極を設置することができれば,綺麗でノイズのないデータがリアルタイムに取得できちゃうんです.

Rue
特にTCのような高度な実験には質の高いデータが不可欠!!

 

そんな栁澤さんが現在取り組んでいる研究は,身体が動かせなくなって会話することも難しくなってしまう病気ALS(筋萎縮性側索硬化症)の患者さんと,コミュニケーションと取ることが出来るようになる技術の開発を目指しています.

 

身体が動かせなくなって会話することも難しくなってしまった人が,今考えていること,伝えたいことを脳に埋め込んだ電極から読み取って,それをコンピューターを通して周りの人に伝えてあげることができるシステムを開発しようとしているんですね.

目標としては,2025年までに,ALSの患者さんに手術して脳に電極を埋め込むことで,ある程度自由にコミュニケーションできるようになる技術の臨床研究を開始しようとしているみたいです.

2025年というとあと数年後!

あと数年のうちに,考えただけで情報が相手に伝わる,まるでテレパシーのような,Think Communicationが実現していくって,めちゃめちゃ楽しみですよね.

Rue
健康な人でも使えるようになったら是非使ってみたい♪

 

2脳に情報を書き込む研究

次の研究は,東京都医学総合研究所の西村さんの研究グループ

さっきの栁澤さんが脳からの情報を読み取る技術だったのに対し,西村さんは,人工神経接続という方法で,脳や神経に情報を書き込む研究をしています.

 

例えば,うつ病の患者さんは,脳の側坐核の機能が低下して気分が落ち込んでしまうと知られているのですが,特定の手の筋電を感知すると,脳に埋め込んだ電極が側坐核を刺激して,うつ病の患者さんでも気分を盛り上げて,やる気にさせることができるシステムを作ろうとしています.

将来的には,忍者の印を結ぶように,特定の手のポーズをトリガーにして側坐核などを刺激して,やる気をださせたり,集中力を向上させられる忍術みたいなものを実現できるかもしれないですね♪

 

更に,実は,脊髄損傷をした猿に対して,脳と脊髄を人工的に接続し,脳からの信号に基づいて脊髄に刺激を与えることによって,腕を動かせるようになったという研究も実施しています.

この研究が発展すると,脊髄損傷で寝たきりになったとしても自分で自分の身体を動かせるようになる可能性があって,とっても有用な技術ですよね.

個人的に気になっているのは,この技術をAIや脳からアバターや他人の身体の接続ができたら面白そうじゃないかって思っています.

例えば,ピアノの演奏を披露しないといけないときに,自分の身体をAIやプロのピアニストの脳と接続して,代わりにピアノを披露してもらうとか.

そんな感じで難しい技能を一瞬で自分の身体にインストールできちゃう未来になっちゃうかもなって妄想してて,個人的に凄く楽しみに思っている研究です.

 

3概念の表現を共通化する研究

また,ムーンショットIoBでは,最終的には,人が見ているものや考えたことを直接そのまま別の人に転送することを目標にしていて,その時に使うAIの開発を産業技術総合研究所の林さんが担当しています.

人が見ているものや思考を別の誰かに転送するときには,その概念の表現の仕方を共通化するAI技術が必要なんです.

これは、日本人である私たちと、アメリカ人やフランス人、中国人など異なる国の人どうしでコミュニケーションすることに似ています。例え異なる国で生活していたとしても,みんな、「犬」や「猫」、「リンゴ」という概念を持っていると考えられます.しかし、どちらもが知っている、何らかの言語がないと、コミュニケーションが成り立たちません.

それぞれの人の心の中には、同じように「犬」や「猫」、「リンゴ」という概念があるのですが、脳のなかで、こうした概念を神経細胞がどのように表現しているかは、個人ごとに違っているんです.

このままでは,たとえば「犬」という概念が,相手の脳の中でどう表現されているかが分からず,スムーズに情報を伝え合うことができないわけなんですね.

そこで、みんなの脳の中での概念の表現の仕方を、共通した表現の仕方に変換するAIを作ることで、別々の人の脳に格納している概念を,一度共通の概念表現に翻訳し,相手の脳と直接のコミュニケーションをスムーズに実施できるってわけです

とっても難しそうな研究ですが,人と人の脳を使ったコミュニケーションのためには必要な技術なので,是非ともこの研究を応援したいですね.

 

 

TCの実用化

さて今回紹介した,Think Communicationですが,これは一体全体いつ頃実用化されるのでしょうか.

最終目標としては,2050年までに,人が脳の制約から解放される,つまり,考えていることを直接相手に送り込んだり,落ち込んだ自分を脳刺激によって元気づけたり,アバターが感じたものを,リアルな体で感じたものと同じように感じることができたり,そんな未来を目指して研究しています.

 

そんなまるでテレパシーのようなSFだと思えるようなものすごく挑戦的な技術,Think Commucnicationは,まずは医療用として,例えばALSなどの身体を動かせず会話をすることが困難な患者さん,考えただけでコミュニケーションを取れるというThink Communication技術を切望している人たちに対しての臨床研究を実施して,生活の手助けを目指すと共に,将来的にはこのシステムを作るだけで終わらず,広く使われるようにするために販売までを目指しているみたいです.

 

ここがこの,ムーンショットプロジェクトの凄いところで,普通の研究では,「コミュニケーションを取れる方法を発見した」ってだけで終わるところを,そこから製品化まで持っていくことで,学術的なインパクトだけでなく,一般社会へも大きく影響を与えることができる,そんな研究開発プロジェクトなんですね.

 

このThink Communicationを体験できるツールも,最初は主に身体を自由に動かすことが難しい方を対象とするかもしれませんが,そのうち,一般の健康な人向けのツールも出てくるかもしれません. そうすると,まさしくテレパシーが実現して,人間のコミュニケーションが進化し,短時間でより多くの学びを得られるようになるかもしれませんね.

Rue
未来が楽しみですね♪

 

TCまとめ

っていうわけで,今日はムーンショットIoB,その中でも,頭の中で考えただけでコミュニケーションするという「Think Communication」について紹介してみました.

考えただけでコミュニケーションだなんて,まんまSF世界の技術ですよね!

この調子でムーンショットIoBの研究が進んだら,いつの日か,ゲームの中のアバターを操作して,仮想空間の中で暮らす技術,フルダイブ技術が実現するかも!!

フルダイブや,こういったSF技術,未来のテクノロジーが好きだって人は是非,日本の国家プロジェクト,ムーンショットIoBを応援しましょう.

 

今後もこのブログでは,ムーンショットIoBの続報や最新の脳科学技術について分かりやすく解説していきますので,今日の記事が面白かった人,これからもこんな情報を知りたい人,僕の活動を応援するよーって人は是非,次回の記事も要チェック!

それでは,今日はこの辺で,また次回の記事でお会いしましょう.

ばいばーい. 

ムーンショットIoBの記事Part1

ムーンショットIoBの記事Part2

 

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