イーロンマスク率いるNeuralink の脳への埋め込み電極 徹底解説

イーロンマスクのNeuralink 人の脳に埋め込む電極開発中

脳と人工知能

こんにちは,普段は大学の博士課程で脳科学を研究しています,バーチャルサイエンティストの卵のRueです.

 

今日は脳科学のとってもホットなトピック

イーロンマスク率いるNeuralinkの脳に埋め込むタイプの電極の開発

について解説します.

 

Neuralinkは,アメリカの有名実業家,イーロンマスクが率いる世界で最先端の侵襲型,つまり,脳に電極を埋め込むタイプのBrain Machine Interface(BMI)の研究を行っている企業です.

Neuralinkの活躍によって,

  • 脳とPCを直結する,SFの技術

が着々と近づいてきています.

この研究が完成したら,

例え

  • 全身まひになったとしても,脳で念じるだけで直接身体を動かせる
  • 聴覚を失ってもPCから音を直接転送して聞くことができる

なんてことができるようになるかもしれません.

最後まで記事を読んでみると,きっと未来のテクノロジーを体感できると思います♪

 

ちなみに,この内容は以前YouTubeの動画でも解説をしいているので,動画で見たい人は是非,YouTubeでもご覧ください.

Neuralinkとは?

(本日の記事の情報源はNeuralinkの公式YouTube配信です)

Neuralink社は,アメリカのイーロンマスク氏が設立した会社で,人の脳に電極を埋め込むというかなり前衛的な研究をしている研究会社です.

世界的にいわゆる脳科学×AIという分野は非常に注目されており,Google, Facebook, Microsoftと,名立たる企業が競って日夜研究を推し進めています.

そんな中,Neuralinkは侵襲的,つまり人の脳に埋め込む電極の開発することで,これらの大手の企業と渡り歩こうとしているわけです.

 

ニューラリンク社が目指す社会は,脳に電極を埋め込むことで,より生きやすい社会を作ることを目標に研究を実施しています.

例えば,

  • うつや不安障害などの精神疾患によって脳が変性
  • 脳にダメージを受けて身体麻痺や視覚や聴覚といった感覚を失ってしまう
  • 交通事故によって体を動かせなくなる

 

というように,脳に異常をきたしてしまうことで日常生活を満足に送ることが出来ない人が多数存在し世界的に問題になっています.

ニューラリンクはこのような問題を抱える人たちの為に,脳に電極を埋め込んで,脳を正常な状態へと治療する,または,脳とコンピュータをつないで,日常生活を送る手助けをしたいと考えているそうです.

すごく野心的な取り組みですが,巨額な資金と優秀な人材をどんどん投入することで,毎年目覚ましい成果をあげています.

Neuralinkの新型電極

Neuralink 電極

Neuralinkのコイン型電極

 

そんなニューラリンクですが,2020年の発表では脳に埋め込む電極の新バージョンを開発し,その機能を発表していました.

 

↓ その時のスライドがこちら! ↓

Neuralink 電極比較

Neuralinkの電極比較

この左側の電極のタイプが去年発表した電極,そして,右側が今年発表した電極です.

 

昨年までは耳の裏側に大きめの本体を置いておいて,そこから電極へ細いワイヤーを伸ばすって感じの形状でしたが,今年のモデルはコイン1枚を脳に埋め込むってタイプになっています.

 

前のモデルだと恐らく,耳の裏と,電極を差し込む脳の2箇所に対して手術を行う必要があると思われたのですが,今年発表の電極の形状になることで,電極の埋め込む位置に本体も入れてしまうので,1箇所の手術でよくなり,手術がすごくやりやすそうになりましたね.

また,本体と電極までのワイヤーの長さが短くなったと思われるので,ワイヤー間で生じてしまう信号の減衰が少なくなりそうなので,よりキレイな脳活動データがえられそうですね.

 

電極の本体のサイズも指先で持てるくらいに小型化されており,普段は頭皮の下に埋め込まれているので,日常生活で不便を感じることはなさそうですね.

 

しかも,こんな小型な電極であるにも関わらず,脳に刺せる電極数は1024個もあり,めちゃめちゃリッチなデータを得ることができると考えられます.

Neuralink 電極 スライド

Neuralinkコイン型電極の発表スライド

手術自体は,ロボットを使っておこなうそうなのですが,

1時間もかからずに手術でき,全身麻酔も必要ない!!

なんだそうです.

Neuralinkの手術ロボット

Neuralinkの電極を埋め込むための手術ロボット

将来的には,スマホの買い替え感覚で,

Rue
ちょっと脳の電極を買い替えてくるね!

なんて未来になっているかもしれませんね♪

 

ちなみに,電極から取得されたデータはワイヤレスで送信され,将来的には,スマホと接続できるようにして,スマホの操作やロボットなどの機械の操作もできるようにするとのことです.

Rue
スマートウォッチの上位互換みたいな?

 

この電極のバッテリーは1日持ち,充電は眠っている時にワイヤレスで充電することができるそうです.

 

[デモ] 豚の身体の動きを推定

Neuralinkは,動物にこの電極をインプラントする実験を実施しており,2020年の発表では豚ちゃんを使ったデモンストレーションを公開しています.

 

これがその時の様子で,豚ちゃんが歩いている時の脳活動からその動作を予測するという実験です.

Neuralink デモンストレーション

Neuralinkの豚のデモンストレーション

右側の写真の△のマークは脳活動から予測した豚ちゃんの身体の位置,〇は実際の身体の位置です.

 

この1枚からじゃ,よくわからないかも知れませんが,実際に公開されたデモ映像では,〇と△はかなり連動して動いていて,きちんと豚ちゃんの動きを予測できていました.

(実際の動画を見てみたい人はこちらをチェック)


 

また,一度電極をインプラントした後に,脳から電極を取り外した豚ちゃんも登場しましたが,特に障害などは残らず,健康そうにピンピンしてました.

[デモ] 神経細胞を活性化

さらに,この電極のすごいところは,電極で脳活動を読み取るだけでなく,電極から電流を流す事で周りの脳の神経細胞を活性化させることができます.

つまり,

脳からマシンへの情報のアウトプットだけでなく,マシンから脳への情報のインプットも可能!!

その時の様子がこちらで,赤い色が電流を流している電極,緑色が活動している神経細胞です.

Neuralinkの書き込み実験

この写真を見てみると.電流を流している電極 の周りの神経細胞が活動しているのが分かりますよね?

 

また,別の電極に電流を流すと,その電極の周りの神経細胞が活動します.

Neuralink 書き込み実験2

 

って感じで,この電極を使うと脳に直接情報を書き込む事ができるなんて可能性もあるわけですね!!

とはいっても,今のところは,1個の電極につき数千個の神経細胞が活動しているそうなので,例えば,電極を視覚野に埋め込んで,脳に直接映像を見せるっていうのは今すぐには難しそうですね.

 

いずれにしても,脳科学の超最先端を突き進んでいるニューラリンクですが,この研究は僕の夢である,ゲームの中に入り込む技術・フルダイブ技術の実現に近づくと思えるので,ニューラリンクの今後の研究に期待したいですね!

今回の発表も優秀な人材のリクルートを目的としているそうなので,ニューラリンクの研究が更に加速しそうで,来年の発表が待ち遠しいです.

 

って感じで,今日はニューラリンクの最新情報について解説してみましたがどうでした?

 

ちなみに,ニューラリンクの電極は最終的には一般市民でも手軽に電極をインプラントすることを目標としているので,1000ドル程度で電極をインプラントできるように開発しているそうです.

脳に電極をインプラントするという手術な割にはすごくお手頃価格ですね.

もしかしたら,皆さんお持ちのiPhoneみたいに,最新の高性能の電極が発表されるたびに,電極を埋めかえるなんて世界になっているかもしれませんね!

 

これからもこんな感じで,最新の脳科学の情報を発信していく予定なので,気になる記事があったら是非,覗いて行ってください!

 

それじゃ,今日はここまで,ばいばーい

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